鹿児島県立短期大学/第13回鹿児島県短期大学の教育 シンポジウム発表

2009.08.24

第13回 鹿児島県短期大学の教育 シンポジウム発表

短大での学びについて

鹿児島県立短期大学 経済専攻2年 山下美香

 平成21年8月11日に鹿児島県民交流センターで「第13回鹿児島県短期大学の教育 シンポジウム」が開催されました。そのシンポジウムで鹿児島県立短期大学経済専攻の山下美香さんが「短大での学びについて」を発表しました。以下はその内容です。 短大シンポジウム

 過去の同シンポジウム発表

 皆さんは、短期大学にどのようなイメージを持っているでしょうか。本来4年制の大学で学ぶ内容を2年間という短期間で学びますので、毎日授業ばかりで忙しく、自分の時間が持てないのではないか、取得できる資格や就職先が限られてしまうのではないか、というマイナスなイメージを持たれている方も少なくないと思います。実際1年半前、私もこのような思いを心の片隅に抱きつつ県立短大に入学しました。しかし現在、この学校を進学先として選択したことに何も後悔はしていません。それどころか、整った教育環境、友人や先生との出会い、ボランティアや自治会活動を通して、とても充実した日々を送っています。今回は、県立短大でのキャンパスライフを紹介すると共に、短期大学で学ぶ素晴らしさについて、皆さんに少しでもアピールできるようお話させて頂きます。

 私は、商経学科経済専攻に在籍しています。経済論や金融論、簿記論など経済の基礎を一から学び身につけます。しかし、ひとえに経済といってもそれだけではありません。民法や行政法などの法律を学んだり、国際関係や交易の在り方など、経済社会を様々な分野から学ぶことができます。今まで触れたことのない分野だけに、難しい内容や用語に苦労することもありますが、その分興味深くもあり、毎日の講義を新鮮な気持ちでうけております。私自身、経済を学ぶようになってから、新聞やテレビのニュースによく目を通すようになり、世界規模での出来事に興味を持つようになりました。きっと、授業で日本経済の現状や国際社会の問題などを取り扱い、そのニュースを深く理解し、様々な視点から物事を考えられるようになったからだと思います。高校までの国語や数学のような机上だけでの勉強ではなく、短大では専門的な学習を通して、社会に生かせる即戦力を養うことができる場だと思います。

 県短での学びは学内だけには留まりません。社会活動や異文化交流など、学校外で自ら行動する体験型の活動が多くあります。異文化交流では、夏季休暇中に2週間ほど、県短が交流を結んでいるハワイ、インドネシア、中国のいずれかの大学を訪れ、授業を受けたり、現地の文化に直接触れることができる科目です。毎年多くの学生が参加し、異文化を肌身で感じ、国際感覚を身につけます。
社会活動とは、公共機関が主催するイベントの企画から運営までを体験するボランティア活動です。私は昨年の夏に、錦江湾横断遠泳大会にボランティアスタッフとして参加しました。大会の2,3カ月前からミーティングが行われ、チームのサポートの仕方や応急救護の練習、会場での清掃活動など、参加者の方々が競技に集中でき、大会をスムーズに運営させるために、100人近くのボランティアが一体となって活動しました。当日、天候にも恵まれ、大会は大成功を収めました。自分が担当したチームが完泳した瞬間は、いまだかつて経験したことのないような感動があり、自分も誰かの力になれたのだと思うと、充実感と達成感で胸が一杯だったのを今でも覚えています。これらの活動は自分の視野を広げ、人生において成長の糧になると同時に、日本、そして鹿児島の魅力にも改めて気付かされます。これも、地域に根ざし、地域に愛されてきた県短だからこそ感じることができる、県短ならではの活動だと思います。

 次に、県短の小規模性を活かした特色ある科目を紹介します。入学するとすぐに、私の在籍する商経学科ではゼミ活動が始まります。ゼミでは研究テーマについて議論したり、工場見学や合宿をするなど、幅広く様々な経験ができる場です。だいたい10名以内の少人数で時間をかけて活動するので、自分の意見を主張しやすく、一人一人が持つ能力を伸ばすことができ、また、新しい自分を発見することにもつながります。ゼミは沢山の出会いの場でもあります。短大には高校のようにクラスが無いので、同じ専攻でもゼミを通さなければ出会わなかった友人もいます。また、先生との距離もとても近く、授業や将来のことについていつでも親身になって相談に乗っていただけます。私の所属しているゼミでは、労働と貧困をテーマに研究しており、毎時間順番でレジュメをつくって報告し、それについて全員でディスカッションするという形をとっています。自分でレジュメを作成し、人前でプレゼンテーションすることは想像していたよりも難しく、主張すべきことがうまく伝わらないことに苛立ちを感じることもありました。しかし、先生のアドバイスや、友人との意見交換の中で、様々な考えがあることに気付かされ、さらに自分の考えを深めることができたと思います。他にも、先生の自宅でバーベキューをしたり、指宿で合宿をしたり、学園祭で模擬店を出店するなど、日々の研究以外にも活発に楽しく活動しています。また、この夏季休暇を利用し、ドイツへの10日間程の海外研修も予定しています。海外へ行くには、費用や時間もかかりますし、何より私自身、生まれてから日本から出たことがなかったので、最初は参加するかとても迷っていました。しかし、学生の今だからこそできることをしたい、未だ見ぬ世界を知り自分の視野を広げたい、そして2年間という短大生活の中で、人生に刻まれるような素晴らしい思い出を残したいと思い、ドイツ行きを決心しました。現在、言葉や歴史、文化などを勉強しているところです。ドイツは、ベルリンやポツダム、ドレスデンといった地名から分かるように、深い歴史がある国です。高校時代、世界史を勉強していた私にとって、教科書上でしか学ぶことができなかった歴史に直接触れることができるということは、嬉しくもあり、感慨深くもあります。私が特に重きを置いているのは、ナチスの強制収容所跡です。おそらく写真や映像で見るよりも、その悲惨さを強烈に肌身で感じることになるでしょう。しかし、歴史を真摯に受け止め、風化させないことは、現代人の使命であり、平和な世界を築くための方法でもあると思います。平和について日本人目線の考えだけでなく、世界規模の視野で考えることができるようになりたいです。観光名所だけでなく、ドイツの食文化や自然、言語や現地の方とのふれあいなど、楽しみなことは山ほどあり、期待に胸が膨らむばかりです。初めての海外を満喫し、人として一まわりも二まわりも成長して帰国したいと思っています。

 このようにゼミでは学生が中心となって、仲間や先生方と協力し、試行錯誤しつつ、様々な活動に取り組んでいます。県短生が大きく成長できるチャンスが無限に広がっている場であるといえるでしょう。このゼミの時間を有意義に過ごし、自分自身を成長させることが私の課題であり、それは将来において必ず役に立つものだと信じています。皆さんにもこのゼミ活動を通して、自分ひとりでは決してできないような経験をし、充実した日々を送ってほしいです。

 最後に、自治会活動についてお話します。私は現在、自治会副会長を務めています。自治会は、学校生活や行事などをスムーズに運営させるための、学生の、学生による、学生のための組織です。自治会役員になると決まったとき、中学高校の生徒会みたいなものだろうと、正直あまり重くは受け止めてはいませんでした。しかし実際は、一から十まで何もかも自分達で準備、進行しなければなりませんし、予算なども過去の資料と照らし合わせながら作成するので、責任がより重くのしかかっています。また、自治会は同窓会や振興会、そして地域の方々など、本当に多くの人から支えられて成り立っています。その中で自分達は県短のために何ができるのか、創立60周年を迎える歴史ある県短を、どのように発展させるのか、というのが私達自治会の大きな課題でもあります。

 自治会役員になり、ここでも沢山の出会いがありました。普段ほとんど関わることの無い他学科の学生と関わることができ、それはお互いとても刺激になるし、自治会の仕事を通して、その絆もより一層深いものになっていきます。また、皆さんは県短に夜間の学科があることをご存知でしょうか。第二部商経学科は県内で唯一夜間に通うことができる短期大学です。もちろん私達と同年代の学生もいますが、他にも昼間はアルバイトをしている方や、就職して社会人として働いている方など、様々な職種や年齢の学生が通っており、豊かな人生経験ができる場です。自治会では一部と二部が合同で活動することが多いので、二部生との交流も深めることができます。普段接することのない人達と意見交換をし、ひとつのことを成し遂げる。意見が食い違うことも珍しくはないですし、時間を合わせることだけでも一苦労です。でも、その苦労があるからこそ、達成できたときの喜びは計り知れないほどですし、自分達はもっと成長できるという向上心もそこから生まれるものだと思います。今は11月に催される学園祭の準備をしています。この学園祭は県短の一大イベントであり、私達自治会もとても力を入れている行事のひとつです。模擬店やバンド演奏、そして二部のオープンキャンパスも兼ねて行いますので、皆さんもぜひ足を運んでみてください。きっと県短の魅力が一目で分かってしまうような学園祭になると思います。自治会に入らなければ出会わなかった人がいる、経験できなかったことがあると考えると、忙しいこともありますが、自分の人生にプラスの影響を与えてくれるかけがえのない場であると思います。残りの任期を副会長としてまっとうし、自分のため、すなわち県短生のためとなるような活動をしたいです。

 県短に入学して1年半が過ぎようとしています。短大の2年間は本当にあっという間です。あと半年で社会に出なければならないと思うと、不安が無いわけではありません。しかし、県短での出会いや経験はひとつも無駄になることはなく、自分の人生において大きな財産になるということを私は信じています。今、自分には何ができるのか、何を残せるのか、どれだけ成長できるのか、それは自分次第です。自分次第で2年間を長くも短くも使うことができる、それが短大のおもしろさです。残り半年となった短大生活をより有意義に過ごすために、日々邁進していきたいと思います。

 今回はこのような発言の場を与えて頂き、心から感謝しています。私自身、今一度県短にきた意味と県短の素晴らしさを再確認することができました。皆様にもこの想いがほんの少しでも伝われば光栄です。

 本日はご清聴いただきありがとうございました。

以上


鹿児島県立短期大学/第13回鹿児島県短期大学の教育 シンポジウム発表