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平成18年度推薦入試の小論文試験問題

注意事項
1 解答は,すべて解答用紙に縦書きで記入しなさい。【日本語日本文学専攻のみ】
1 解答は,すべて解答用紙に横書きで記入しなさい。【日本語日本文学専攻以外】
2 解答用紙は2枚あるので,どちらかを下書きとして使用してよい。
3 受験票とこの問題用紙は持ち帰ってください。

  1. 文学科日本語日本文学専攻 
      次の文章を読んで、後の問いに答えなさい。
     今は昔、ある国に一人の王様ありけり。ことのほかに(おん)召し物の美しきを好みたもう御癖(おんくせ)ありて、つねづね御衣(おんころも)の善し()しにのみ御心(みこころ)を留めたまい、終日(ひめもす)(おん)衣裳(いしょう)部屋に入りたまいて、あれのこれのと着飾り見比べたもうことも多かりき。
     ある時、城下に二人の機織(はたお)り来たりて、誇りが〔注1〕に言い触らすようは、「我々こそは(たぐい)まれなる織手(おりて)にて、また(たぐい)まれなる不思議の織物を織るの(みょう)を得たる者なり。我々の織りたる織物の(みょう)は、これにて作れる衣裳は、これを着る人の徳不徳を明らかに現すの不思議あり。徳ありておのれが(くらい)役目相当の力ある人これを着る時は何事もなけれど、不徳にしておのれが(くらい)役目相当の力なき人には、その立派さも奇麗さもまるで目に見えぬなり。」と。
     王この話を伝え聞きたまいて、(おぼ)すらく、「さてさて、不思議にも驚くべき織物のあるものかな! (ちん)もしこの織物を得ば、(ちん)が臣下の者どもが各々その役目に相当せるや否やを知ること(たなごころ)を返すよりも(やす)かるべし。いでいで〔注2〕、一組の着物を急ぎ調(ととの)えさすべし。」とその旨勅命を下したまい、かの二人の織手(おりて)をして織物の(わざ)を始めさせたまいける。
     さるほどに、かの織手(おりて)どもは勅命に従い(まつ)りてすぐさま一つの(はた)をしつらい、機織(はたお)りの(わざ)をぞ始めける。さるに、この織手(おりて)(とな)えたるものどもは(もと)より(まこと)織手(おりて)にてはあらで、ただ王を(たばか)らんとて来たりし悪戯者(いたずらもの)にてありしかば、(はた)織ると見せしはただその真似(まね)(こと)のみにて、その実は王より織物に用ゆるとて受け取りたる上等の絹糸や混ぜ物なき金などは、皆おのれが懐に着服し、何もなき(から)(はた)にかかりて終日(ひめもす)機織(はたお)りの身ぶりをなしたるのみ。
     (中略)
     かくして、王はご乗馬(じょうめ)(またが)りたまい、(おん)御幸(みゆき)の行列しとしとと進み行きぬ。されば城下の人民どもは今まで(うわさ)(かまびす)かりしかの不思議なる(おん)召し物を一目(ひとめ)なりとも拝まばやと、首を伸ばして待ちいたる、その折からに()の当たり見えさせたもう(おん)装い世の常ならぬにハッとばかり一同は皆々驚きたれども、不思議の召し物わればかり見る(あた)わずとは言い出しかねて各々(おもて)に感服の色よそいて()たりける。
     かく(おん)御幸(みゆき)の行列は勇む群衆(ぐんじゅう)の喜び声万歳(まんざい)祝うその中をいと(おごそ)かに練り行く折から、甲走(かんばし)ったる子供の声にて――
     「やあ! おかちい〔注3〕な! 天子(てんち)様がチャッポと襦袢(じばん)ばかりでおんまに乗ってらあ!」
     偽りあらぬ子供の言葉に、今まで(つつ)みし皆々がさてはと一同におかしさを(こら)えかねてや道理(どうり)なる。
     偽り多き世の中にはかかる(たぐい)のいと多かり。(あに)ただ王の召し物のみならんや。ああ!
    (『Romaji Zasshi』一巻一八号 ヤスオカシュンジロウ訳「王の新しき衣裳【翻刻】」より。ただし、表記などを改めた箇所がある。)

     〔注〕1 誇りがに…「誇らかに」の雅語的表現。
        2 いでいで…「さあさあ」、「どれどれ」の雅語。
        3 おかちいな・天子(てんち)様・チャッポ…ここでは「シ」と発音されるべきところが発音できず、「チ」となっている。シャッポは「帽子」(ここでは「王冠」)。

      問一 ――線部Aを現代語訳しなさい。
      問二 ――線部Bを「かかる」の内容がよく分かるように現代語訳しなさい。
      問三 明治期には、漢字や仮名を廃止し、ローマ字を国字として採用することを目的としたローマ字運動が起こった。『Romaji Zasshi』は、明治十八年、「ローマ字会」によって刊行された機関誌で、問題文の原文は、下のようにすべてローマ字で書かれている。ローマ字運動は戦後も続いたが、結局定着しなかったのはなぜだと思うか。 あなたの考えを六〇〇字以内で述べなさい。
      I MA wa mukashi aru kuni ni hitori no Ō sama ari-
         keri. Kotonohoka ni on meshimono no utsuku-
    shiki wo konomi tamō on kuse arite, tsune zune on
    koromo no yoshiashi ni nomi  mi-kokoro wo tome
    tamai ; himemosu on ishō-beya ni iritamaite, are no
    kore no to kikazari mikurabe tamō koto mo ōkariki.
    【解答例】

    問一(10点)
    「この不思議な衣裳を、自分だけ見えない、とは言い出しかねて」
    採点基準:「能わぬ」の部分がしっかりと訳されていること。

    問二(15点)
    「嘘の多いこの世の中では、目に見えないものを見えないと正直に言えないようなことが非常に多い。どうしてこの王の衣裳の件だけにとどまろうか(この王の衣裳の件だけにとどまらない)。」
    採点基準:「かかる」の内容が、この物語に即した具体的な例示であってもよいので、しっかりと書かれていること。

    問三(75点:15点×5人)
    (略)
    採点基準:長文の文章表現力を問う。

  2. 文学科英語英文学専攻 
    課題 次の文章を読んで,後の問いに答えなさい。
     
     西洋文化が,日本社会に広く普及した大正時代ごろから,西洋起源の単語をカタカナで表記した外来語が,一般社会にも大量に広まるようになり,その後,外来語は次々に流入してきています。現代は,英語圏を中心とした地球規模の経済活動がより活発化し,外来語の流入の激しさを一層強く感じる人が多いようです。
     外来語の多くは,現代の日本社会にとって役に立つ新しい事物や概念を表す言葉であり,日本語や日本社会を豊かにしてくれる側面を持っています。
    『伝え合いの言葉』国立国語研究所より) 

    問 下線部についてあなたはどのように思いますか。あなたの考えを800字以内で述べなさい。
    「英語リスニング」について
     
     英語英文学専攻では,小論文のほかに英語リスニングを実施しています。これは,高等学校卒業程度の英語聴解力を有し,英語で行われる本学の一部の講義を理解できるかどうかをみるものです。
     問題は公開していませんが,テープの内容について問う問題や書き取り等,一般的なリスニングの問題です。

  3. 生活科学科食物栄養専攻 
    課題 平成17年6月「食育基本法」が制定されました。下の基本法の前文を読んで,後の問いについてあなたの考えを述べなさい。

     二十一世紀における我が国の発展のためには,子どもたちが健全な心と身体を培い,未来や国際社会に向かって羽ばたくことができるようにするとともに,すべての国民が心身の健康を確保し,生涯にわたって生き生きと暮らすことができるようにすることが大切である。
     子どもたちが豊かな人間性をはぐくみ,生きる力を身に付けていくためには,何よりも「食」が重要である。
     今,改めて,食育を,生きる上での基本であって,知育,徳育及び体育の基礎となるべきものと位置付けるとともに,様々な経験を通じて「食」に関する知識と「食」を選択する力を習得し,健全な食生活を実践することができる人間を育てる食育を推進することが求められている。
     もとより,食育はあらゆる世代の国民に必要なものであるが,子どもたちに対する食育は,心身の成長及び人格の形成に大きな影響を及ぼし,生涯にわたって健全な心と身体を培い豊かな人間性をはぐくんでいく基礎となるものである。
     一方,社会経済情勢がめまぐるしく変化し,日々忙しい生活を送る中で,人々は,毎日の「食」の大切さを忘れがちである。
     国民の食生活においては,栄養の偏り,不規則な食事,肥満や生活習慣病の増加,過度の痩(そう)身志向などの問題に加え,新たな「食」の安全上の問題や,「食」の海外への依存の問題が生じており,「食」に関する情報が社会に氾(はん)濫する中で,人々は,食生活の改善の面からも,「食」の安全の確保の面からも,自ら「食」のあり方を学ぶことが求められている。
     また,豊かな緑と水に恵まれた自然の下で先人からはぐくまれてきた,地域の多様性と豊かな味覚や文化の香りあふれる日本の「食」が失われる危機にある。
     こうした「食」をめぐる環境の変化の中で,国民の「食」に関する考え方を育て,健全な食生活を実現することが求められるとともに,都市と農山漁村の共生・対流を進め,「食」に関する消費者と生産者との信頼関係を構築して,地域社会の活性化,豊かな食文化の継承及び発展,環境と調和のとれた食料の生産及び消費の推進並びに食料自給率の向上に寄与することが期待されている。
     国民一人一人が「食」について改めて意識を高め,自然の恩恵や「食」に関わる人々の様々な活動への感謝の念や理解を深めつつ,「食」に関して信頼できる情報に基づく適切な判断を行う能力を身に付けることによって,心身の健康を増進する健全な食生活を実践するために,今こそ,家庭,学校,保育所,地域等を中心に,国民運動として,食育の推進に取り組んでいくことが,我々に課せられている課題である。
     さらに,食育の推進に関する我が国の取組が,海外との交流等を通じて食育に関して国際的に貢献することにつながることも期待される。
     ここに,食育について,基本理念を明らかにしてその方向性を示し,国,地方公共団体及び国民の食育の推進に関する取組を総合的かつ計画的に推進するため,この法律を制定する。

    問1 「食育基本法」第5条では「子どもの食育における保護者,教育関係者等の役割」について述べられています。どのような役割が考えられますか。400字以内で述べなさい。

    問2 「食育基本法」第8条では「食品の安全性の確保等における食育の役割」について述べられています。どのようなことが考えられますか。具体例をあげて400字以内で述べなさい。

  4. 生活科学科生活科学専攻 
    課題
     今夏話題になった「クールビズ」(夏のビジネススーツに代わる軽装化したスタイル)について,以下の3つの観点からそれぞれどのようなことが言えるか,800字以内で述べなさい。
      (1) 生理的観点  (2) 経済的観点  (3) 衣服の社会的役割の観点

  5. 第一部商経学科(推薦・社会人)  
    課題 下の2つの問いに答えなさい。

     英語・パソコン・会計は,ビジネス界の「三種の神器」と呼ばれ,ビジネスパーソンが身につけるべきスキル(技能)として位置づけられている。

    問1 近年,この「三種の神器」が特に重視されるようになったのはなぜか。世の中の変化と関連させながら述べなさい。

    問2 ビジネスの世界では,この「三種の神器」のほかにもさまざまなスキルが必要となる。「三種の神器」以外で,あなたがもっとも重要だと考えるスキルをひとつ挙げ,その理由を述べなさい。
    【解答例】
     以下のような論点がのべられていること。

    問1
    英語:企業活動の国際化が進展している
       英語がビジネス分野における事実上の公用語として機能している
    PC:IT化が進展している
      ITを使いこなせるかどうかが,個人レベル,企業レベルでの競争力を決定する
    会計:会計数値がビジネスの言語として機能している
       企業の諸取引の複雑化・多様化にともない会計基準が複雑化したことや,会計不信(経営者や会計士による数値の捏造)により,会計数値を読み解くスキルが求められている

    問2
     具体的なスキルを挙げ,なぜそれが必要になるかを論理的に説明できているか。
     (例)英語以外の語学(中国語など),国語,リーダーシップ,コミュニケーション力(対人力),企画力,発想力 など

  6. 第二部商経学科(特別推薦)  
    課題 地方(あるいは田舎)の社会生活について,数々のマイナス面(否定的な側面)が指摘されている。例えば,過疎化・高齢化などは「良くないこと」「先行きの暗さを示す現象」と見なされがちである。しかし,それを逆手にとり,地方のマイナス面こそが地方の明るい未来につながる(可能性がある),という考え方もある。
     しばしば地方のマイナス面のように語られる事柄を以下に列挙するが,この中から4点を選び,その番号を解答欄に記入し,それぞれがいかにプラスに転じうるかを述べなさい。

    (1)過疎化
    (2)商店街の衰退
    (3)高齢化
    (4)若者の流出
    (5)全国平均を下回る所得水準
    (6)居住環境(下水道など)整備の遅れ
    (7)情報環境(ブロードバンドなど)整備の遅れ
    (8)荒れ地(耕作放棄地)の多さ
    (9)プライバシーが保てないこと
    (10)近所づきあいのわずらわしさ
    (11)同調の強制(個性の抑圧)
    【解答例】
     以下のような点が評価の対象となる。

    1.地域問題への関心の高さ(情報や知識の集積の度合い)
    2.文章力(一定の長さの文章が書けること。漢字や助詞の正しい使い方)
    3.説得力(文の構成がスムーズで,論理の破綻がないこと)
    4.発想力(発想を逆転させる力業の出し具合)

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